しろくまの日記

しろくまがが綴る、ありのままの日記。

書評『小さな「悟り」を積み重ねる』

『小さな「悟り」を積み重ねる』という仏教の考え方を書いた本を読んだ。

わかりやすく、シンプルに仏教の考え方を解説しつつ、現代社会に生きるヒントが詰まっていた良い本だったので、印象的だった部分をまとめておこうと思う。今生きる事に苦しんでいる人におすすめしたい、そして自分でも苦しくなった時に読み返したい一冊。

 

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[著者情報]
Alubomulle Sumanasara(アルボムッレ・スマナサーラ)
一九四五年、スリランカ生まれ。スリランカ上座仏教長老。一三歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとる。八〇年に来日。駒沢大学大学院人文科仏教学博士課程を経て、現在はスリランカ上座仏教日本サンガ主任長老としてテーラワーダ(=上座部)仏教の教義の普及に務めている。『怒らないこと』『怒らないこと2』(サンガ)など著書多数。

 

すべてが無常である

"無常"とは変化しないものは何もない、という教え。
私たちは知覚したものを「固定した何かがそこにある」と認識するが、それは誤認である。人生とは、一切が一瞬たりとも同じ姿をとどめていない無常なものであるからこそ、成り立っている。生きるとは、すなわち変化すること。よって、それに逆らおうとすると無理が生じる。逆に、すべてが無常であると理解する、つまり因果法則を理解することで、冷静でいることができる。幸も不幸も長持ちしない、変化していくものなのである。自分自身も、世界も、因果法則によって起こる一時的な現象だと理解することで"人生の整備士"になることができる。

人生はすべてレンタル

すべてのものは無常であるため、何一つ「自分のもの」にはならない。自分から必ず離れていくものである。生きるとは、直前の自分を次々と捨てていくプロセスである。一切は捨ててしまうものだと覚悟すると、この上ない自由に到達できる。

苦しみは錯覚である

そもそも人が苦しむ理由は、全て勝手な思い込み、錯覚である。錯覚から目覚めるというのは、悩み苦しみから解放されることである。

人は考えるのはバカだからである

人間は自分たちのことを賢い動物だと思っている。しかし、考えれば賢くなるというのは幻想である。そもそも人はバカだから考える。人間のあらゆる問題は、考えることから起こっている。よりよく生きるには、考えることをやめて、ありのままに自分や周囲のものごとを観察すること。

苦しみの根源とは

苦しみには2つある。1つは、生きることそのものの苦しみ。ごはんを食べたり、寝たり、息をしたり、まばたきしたりするのは、すべて苦しみから逃れるため。命の根源は苦しみである。
もう1つは、生きていく上で出会わざるをえない苦しみ。これは外部からやってくる苦しみのことで、予想がつかないもの。予想がつかないものは、諦めるしかない。
私たちは、生きることが苦であるにもかかわらず、生き続けたいと思う。生き続けたいということは、苦しみ続けたいということ。

人生は尊いものではない

人生は紙コップのようなものである。人生にあまり価値を求めすぎてはいけないということ。人生を尊いものだと思うと、生きることがややこしくなる。宇宙という次元からみると、ひとりの人間の存在などとるにたらないものである。そう考えると、失敗してもまぁいいやと思えるし、成功しようと驕りたかぶらず、冷静でいられる。
いま目の前のことに一生懸命に取り組むこと。その上で成功しようと失敗しようと、それほど気にする必要はない。成功を期待して失望することもなく、失敗を恐れて挑戦しない臆病な人間になることもなく、日々、自分がやらなくてはならないことを精一杯努力する。もっと頑張ればよかった、という後悔の念が起きないように気をつける。努力がどんな結果をもたらすかは、誰にも知るすべはない。
人生はそう大そうなものではないので、全部いらなくなったものは捨てていく。名誉も肩書きも、不安も悩みも、どうせ全部捨てるから、いらなくなったら紙コップのように捨てる。

ギブアンドテイクではなく、ギブアンドレシーブ

ギブアンドテイクとは、人に与えて相手から取ること。つまり、自分が得することに焦点をおいている。そうではなくて、ギブアンドレシーブにするとよい。相手に何かを与えたら、相手がそれに対してレシーブして返してくれる。そこに感謝の気持ちも生まれてくる。見返りを求めて相手から「取る」ことを考えるのではなく、相手が返してくれるものを「受ける」感覚でいると気持ちよく生きられる。

ポジティブシンキングではなくプログレッシブシンキングへ

ポジティブシンキングは、嫌なことを受け入れず強引に否定してしまう。そこから学ぶことができない。何かが起きたときに「どんな反応をしたらいいか」「自分がそれを糧に成長するためにはどうしたらいいか」という姿勢でいられるプログレッシブシンキングであるとよい。 例えるならば、ポジティブシンキングは滑り台をきれいに滑ることのみを目標にする。ネガティブシンキングは滑り台を滑る楽しさも知らないで危ないからといって滑らない。プログレッシブシンキングは滑り台を滑りもするし、逆さまに登って楽しむこともできる。

人生というゲームを操る上手なプレイヤーになる

人生というゲームは何の意味もなく、何の役にも立たないプログラムでできている。ゲームはルールを知らないと楽しめないが、ルールを知ることが楽しめるようになる。人生は、小さな達成感をどれだけ多く持てるかだ大事。それが増えるほど、幸せな人生になる。その場その場でしっかり仕事をうまくやる、1回1回の食事を美味しく食べる、ニコニコして過ごす。人生は生きることは逃れられないので、その中で充実感をもって過ごし、たくさんの小さな達成感を得ていくことが大切。

 

 

おわり