「対面でなくてはならない」は本当か?
コロナ後の世界はどうなる?という議論のなかで、「オンライン化が急速に進む」という話が必ず出てくる。
確かに、これを機にオンライン化が進むのは間違いないし、現にあらゆる業界で変化は起こってきている。ただし、このオンライン化はもちろんすべての業界おいて起こるわけではないし、その度合いも異なる。オンライン・オフラインという軸でざっくり下記の4つに分けられる。
①これまでもこれからも変わらずオフラインがメイン
→旅行、交通機関、レストラン、美容院、対面販売型の化粧品など
②これまでオフラインが当たり前だった領域における、オンラインの登場
→印鑑押印、請求書・契約書処理、学校教育、オンライン診療など
③これまでオフラインがメインだった領域における、オンライン比率の増加
→小売り、フィットネス(オンラインヨガやトレーニング)、テレワーク、転職など
④これまでもこれからも変わらずオンラインがメイン
→ECサイト、家庭用ゲーム・スマホゲーム、サブスク動画サービスなど
上から順に、業界壊滅度が高い。ちきりんのブログにまとまっているのが分かりやすい。
基本的には、徐々に時間をかけて、①→②→③→④となるのではないか。
①→②は、そもそも①から変われないところと、仮に変わるとしてもサービスの在り方やビジネスモデルの変革が必要になるケースが多そうで最もパワーがかかることが想定される。そのため一旦ここでは置いておくと、最もハードルが高いのが③→④ではないか。オフラインから脱却し、完全にオンライン化するタイミングがどの業界にもいつかは訪れるのだろうと思う。
もちろん、対面だからこその価値みたいなものが業界によってはあるかもしれない。ただ、それはもしかすると勝手に提供サイドが思っているだけなのかもしれない。今は顧客がオンラインに馴れていないだけであって、慣れればむしろあたり前の基準が変わっていくと思う。もちろん"あたり前の感覚"を変える事はなかなか難しいし恐らく時間はかかるが、遅かれ早かれどの業界でもオンラインメインになっていくと思う。
よって、今思うのは、「対面でなくてはならない」という提供サイドの考えは、本当にそうなのだろうか?ということだ。「非対面で生まれている」と感じている価値は、実は「非対面」であること自体に起因しているのではなく、「現状はまだオンラインでは補いきれていない非対面の要素」に起因しているのではないか。
つまり、「現状はまだオンラインでは補いきれていない対面の要素」がオンラインで実現可能になれば、対面である必要はなくなる。
その要素の正体は何なのか?を明らかにするとともに、それをオンラインで実現するにはどうしたらいいか?を考えていく必要があるなと思う。
料理研究家リュウジさんのおかげで我が家は料理をめっちゃするようになった
SNSを日頃みている人ならば、料理研究家リュウジさんをどこかで見たことがあるのではないか?
リュウジさんは、Twitterでバズを起こすレシピ、通称"バズレシピ"を数々生み出している。
包丁すら不要!!材料ぶちこんでチンするだけで完成
— リュウジ@料理のおにいさんバズレシピ (@ore825) 2020年6月8日
『レンジ豚キムチ焼きそば』
火を使わずにレンジでチンするだけで最強に旨い焼きそばの完成です
酔っ払ってても余裕で完成するのにこの旨さ!!!!
レンジで蒸し上げるので麺ももちもちです!
レシピはこちら!!https://t.co/aDLk52174S pic.twitter.com/AoRqXIXdf1
去年くらいから、Twitterのタイムラインでよく目に入るようになった。バズレシピというのがどんなものなのか興味をもって見てみると、たしかにリュウジさんのレシピは確かにどれも美味しそう。ただ、それだけではない。めっちゃ簡単なのだ。
普段料理をあまりしない勢からすると、煮込み時間30分とか、下ごしらえ2時間とか、フライパンを2つ使うとか、そういうレシピはいくら美味しそうでもハードルが高すぎるのだ。
そういう意味で、リュウジさんのレシピはだいたい材料入れてレンジでチン!とかなのでとても楽ちん。しかも味も美味しい。つまり、素晴らしい。
つかう食材や調味料も似たものが多いので、だいたいひと通り買っておけば何かがつくれる。「気軽に作れる」で料理のハードルがぐんと下がるのを感じた。
我が家ではこうして、リュウジさんのおかげで料理革命が起きた。料理の回数がぐっと上がり、なにより楽しく料理をするようになった。
リュウジさんがすごいのは、レシピだけではない。彼のキャラクターとプロモーション力が素晴らしい。
まず、彼のキャラクターについて。プロフィール画像からもわかるように、ビジュアルは爽やかイケメンお兄さん。一方で意外と適当なところやダメ男キャラをチラ見せしてくる。(Youtubeではいつもハイボールを飲みながら料理をしているw)
これがなんとも言えず憎めないキャラであり、愛されている理由の一つである気がする。アラサー女子にはなかなかぐっときたりもするポイントでもある。
次に、プロモーション力について。リュウジさんをすでにご存じの方は把握していると思うが、彼はTwitterを主軸に据えつつ、Instagarm、Youtubeもガンガン更新しリーチを広げている。加えて料理本も数冊出している。
2020年6月時点で、こんな感じ。
Twitterフォロワー数→140万(https://twitter.com/ore825)
Instagramフォロワー数→69万(https://www.instagram.com/ryuji_foodlabo/)
Youtubeフォロワー数→74.7万(https://www.youtube.com/channel/UCW01sMEVYQdhcvkrhbxdBpw)
料理本→10冊(https://www.amazon.co.jp/%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%82%A6%E3%82%B8/e/B07C3J3CNW/ref=dp_byline_cont_book_1)
料理もわりと自己流なので、普通の料理家が真似できないことをやっているという意味で、意図してか意図せずかポジショニング自体もとても上手のだが、そのデリバリーがとても上手だなと思う。あらゆるメディアを使っているため、毎日どこかしらでリュウジさんのことが目に入る。
レシピはTwitterでも検索できるけど、カテゴリごとにまとまっている料理本も2冊購入。
Amazonレビューもとてもいいコメントが多く、ファンが多数いることが伺える。
美味しい料理が食べられて、家計にも優しく、おうち時間を楽しめる。
料理はあまり得意ではないけど、ステイホームで料理をしようと思っているひとにはぜひおすすめしたい。
リュウジさんありがとう。
破産とか民事再生とか何が違うのかを調べた
会社の資金繰りが厳しくなった場合に企業はいくつかの選択を迫られることになる。自分自身には今のところ関係ないが、最近破産や民事再生の文字をニュースで見かけることが増えたので何が違うのか気になって調べてみた忘備録。
破産と民事再生の違い
会社を消滅させるのか、存続させるのか、が最大の違い。
●破産
・清算(会社を消滅させること)が目的
・債務超過などによって継続的な経営が困難になった場合に、破産手続きを行うことで原則的にすべての資産・負債が清算されるというもの
●民事再生
・会社を残すことが目的
・債務超過などによって継続的な経営が困難になった場合に、現経営者の主導の下、業務継続しながら再生計画案を立て、認可されるたら事業継続しながら計画案を履行していくというもの
民事再生法と会社更生法
現在の経営陣が経営に関与できるか、できないかが最大の違い。
・会社主導で再生を行う
・現在の経営陣もそのまま残ることが多い
・裁判所が任命した管財人主導ですべて再生を行う
・現在の経営陣も一掃される
民事再生のメリデメ
●メリット
・会社を存続できる
・経営陣もそのまま引き継げる
●デメリット
・社会的信頼やブランドイメージの低下。取引先との契約が困難になるケースも
・担保として提供している財産が取られてしまう
...
連日ニュースになっている大手企業は、破産ではなくほぼほぼ民事再生のようである。基本的にはニュースになるような大手企業の場合は事業継続を念頭においた民事再生であるケースが多いだけなのだろうか…?
ちなみにアメリカの破産法では、破産のことをチャプターセブン、民事再生のことをチャプターイレブンというらしい。たまにニュースで出てくるけど理解できていなかったので学び。
Stop Hate for Profitの背景と今後の動きについて
大手広告主によるソーシャルメディアへの広告出稿停止が相次いでいる。
きっかけは、黒人男性ジョージ・フロイドの暴行死事件。全米黒人地位向上協会(NAACP)などの団体が始めた呼びかけは、「Stop Hate for Profit(利益のためのヘイトをやめろ)」。NAACPはソーシャルメディア各社にヘイトスピーチ(憎悪表現)やFake Newsに厳しく対応するよう求めている。
「彼らは黒人のユーザーを守り、応援することができたか?(略) 彼らはできたのに、そうしないことを積極的に選んだ。Facebookの利益、700億ドルの99%は広告収入だ。広告主は誰とともにいるのか? Facebookにパワフルなメッセージを送ろう。あなたの利益は憎悪、偏見、人種差別、反ユダヤ主義、暴力を促進するもので絶対にあってはならない」
6月末までに、ユニリーバ、ベライゾン、ディアジオ、ホンダ、コカ・コーラ、スターバックスなどの大手広告主をはじめ500以上の企業が広告を停止する措置に賛同している。下記にこの活動に賛同している企業がまとめられている。
PARTICIPATING BUSINESSES | Stop Hate for Profit
また、この波は広告出稿にとどまらず、アニメ業界にも動きをもたらしている。長寿アニメ「シンプソンズ」が6月末、白人以外のキャラクターに白人俳優を起用しないことを発表した。
では、なぜその中でもFacebookなのか?
その理由はトランプ大統領のソーシャルメディアでの発言への対応にある。トランプ大統領が差別を助長するような発言をソーシャルメディアに投稿したことに対して、Twitterは「暴力を賛美」しているとして、警告をかぶせ、クリックしないと表示されないようにした。一方で、Facebookが「発言の自由」としてなにも対応しなかった。
これによってFacebookは多額の広告収入を得ているとし、「Stop Hate for Profit(利益のためのヘイトをやめろ)」の活動がはじまり、広告停止が相次いでいるということだ。
現状広告停止している金額は全体の数%であるとのことでそこまで大打撃、というわけではなさそうではあるが、今後この活動が加速していく可能性や、人種差別に対する世論を考えると、プラットフォームとして今後対応方針を示さないわけにはいかないのではないか。
広告主側も、ROI観点だけでメディア選定を行うのではなく、改めて自社ブランドの価値はなにか問うた上で、どのようなメディアに自社広告を出したいのか、どのようにメディアコントロールしていくのか、などを考えていかなくてはならないのだろうなと思う。
とても参考になった記事
スタバやホンダがFacebookをボイコット 広がるStop Hate for Profit(伊藤和子) - 個人 - Yahoo!ニュース
Facebook 広告のボイコットに見る、広告購入の新しい基準 | DIGIDAY[日本版]
コロナの影響で起こったあれこれ。
コロナの影響で起こったあれこれ。ただの忘備録。
最初の頃起こったがいまは落ち着いたもの
・買占め
・過度な自粛
・TCVMのAC差し替え
・「おうち時間」ブーム
・オンライン飲み
2020年9月時点で継続していること
・日常的なマスク着用
・手洗い、うがい習慣
・喚起習慣
・リモートワーク推進
・テレビ番組のリモート参加
・オンライン会議サービスの躍進
・芸能人たちがYoutubeやnoteを一斉にはじめた
・デマの横行
・支援金の配布
・住み替え需要の高まり
・自炊ブーム→クックパッドがランキング公開
・飲食店のデリバリー、テイクアウト促進
・EC化率の伸長
・Neffixなど動画サービスの伸長
・店舗でも勝敗が明確にわかれる
徐々に顕在化
・解雇
・自殺者増加
流行った言葉
・密
・3密
・ソーシャルディスタンス
・PCR
ITPがWeb広告に与える影響と各媒体の対応について
近年Web広告を取り巻くプライバシー問題について規制が厳しくなってきている。今回はITPについてまとめてみる。
- そもそもITPとは?
- Cookie(クッキー)とは?
- 3rd Party Cookie(サードパーティクッキー)とは?
- ITPによって規制されること
- 具体的にはなにができなくなるのか
- ITPへの各媒体の対応
そもそもITPとは?
ITPとはIntelligent Tracking Preventionの略で、AppleがSafariに搭載しているトラッキング防止機能のこと。Appleがユーザーのプライバシー保護を目的に年々この機能を強化している。簡単にいうと、「勝手に行動データ収集されて広告のターゲティングに使われているの気持ちわるくない?プライバシーの保護のために勝手に行動データ取られるの規制しますね」というもの。AppleがITP対応を強化すると、その抜け道を見つけてなんとかしようという人たちが出てくるため、いたちごっこの状態になっている。
ITPの対象となるのは、Safariブラウザでインターネットを閲覧しているユーザー。現在日本でのモバイルブラウザシェアのうち、Safariは6割程度を占めていると言われてるので結構なインパクトになる恐れがある。
▼ブラウザシェア情報を公開している有名なサイト
StatCounter Global Stats - Browser, OS, Search Engine including Mobile Usage Share
Cookie(クッキー)とは?
ウェブサイトへアクセスすると、WebサーバからWebページの情報とともにCookieが発行される。Cookieはウェブサイトを閲覧したブラウザに保存され、再度そのサイトに訪問する際に送信&Webサーバ側で照合されることで、固有のブラウザからのアクセスである事を判別する。一度アクセスしたサイトから離れて戻ってきた際に、前回のログイン情報が維持されていたり、お気に入りに追加した商品が残っていたり、フォーム自動入力がされたりするのはCookieのおかげである。Cookieがあることで、私たちは日々インターネットをスムーズに使えている。
3rd Party Cookie(サードパーティクッキー)とは?
Cookieには2種類ある。
・1st party cookie(ファーストパーティクッキー)
自社サーバーから発行されるCookie。つまり、訪問中のサイトのドメインから提供されるもの。前述したように、ログイン情報を保存するなど自社サイトの使い勝手アップのために活躍している。
・3rd party cookie(サードパーティクッキー)
第三者サーバーから発行されるCookie。つまり、広告媒体側のドメインから提供されるもの。リターゲティング広告やWeb広告の効果測定において活躍している。
サイト内に広告枠がある場合、広告をクリックするとアドサーバーを介して広告に設定されたWebサイトに遷移する。このアドサーバーから発行されるのが3rd party cookieということである。
上の図が書いてある下記の記事がとても分かりやすいので、詳しくは↓の記事を。
ITPによって規制されること
規制の変遷についても上述の記事に詳しく書いてあるので参照いただければと思うが、概要だけ記載。
・ユーザーが直帰した場合は即時削除される
最初は「過去訪問履歴のないドメインのLPからで直帰したときは、セッション終了後に3rd party cookie情報を30日後に削除しますよー」という比較的緩いものだったが、それが「過去の訪問有無問わず、ユーザーが直帰した場合は24時間後に削除しますよー」になり、「過去の訪問有無問わず、ユーザーが直帰した場合は即時削除しますよー」になり、という…
・ITP2.0から1st party cookieまで規制の対象になった
最初は3rd party cookieのみ規制の対象だったが、ITP2.0から1st party cookieまで規制の対象になった。
当時のITP1.1環境下では、リダイレクトを行い、あたかも1st party coolie かのような3rd party cookieを生成するという方法でトラッキングを行った広告媒体・計測ツールが多かったからです。
・Cookie代替案のlocalStorage(ローカルストレージ)も制限される
一部の広告媒体では、Cookieが使えなくなった代わりにlocalStorageを使うことでトラッキング情報を補っていたが、これももれなく規制対象に。最大7日間で無効となった。(2020年7月現在)
localStorageはHTML5の新機能であり、ブラウザがJavaScriptを用いて任意の情報を保存できるという仕組み。ユーザーの情報を保存できるという点ではCookieと類似。ただし、下記の記事によると、単純な仕組みがゆえにセキュリティ観点で問題があり、セキュア情報などを含む場合は推奨しないとのこと。そういう観点で問題がない(もしくは問題があるが気が付いていない)場合はユーザー情報の保存先として使っている可能性がありそう。
ちなみに、同じプライバシー対策でも、異なる2つのアプローチがある。サーバにアクセスすること自体をブロックするのか、Cookieの送信のみをブロックするのか。ITPは後者のケースであり、ページ閲覧情報などは送られるが、Cookieは送られないため誰が見たかは特定できない。 コンテンツブロッカーなどは前者のアクセス自体をブロックするというものであり、そもそも仕組みが違うらしい。詳しくは下記の記事が分かりやすくて良いです。
具体的にはなにができなくなるのか
・コンバージョントラッキングができなくなる
・リマーケティング広告が配信できなくなる
・Cookieを使うツールで計測ができなくなる
・GoogleアナリティクスやAdobe Analyticsなどのウェブ解析ツール
・Treasure DataなどのCDP
・ABテストツール
などなど
ITPへの各媒体の対応
2020年1月に、GoogleはChromeにおける3rd party cookie利用について、今後2年以内にサポートをやめる方針だと発表。プライバシー保護意識が高まるなか、対応せざるを得なかったと思われる。2年という猶予期間で、リターゲティングに変わるターゲティングを開発しているもよう。
クロームのエンジニアリングディレクター、ジャスティン・シュー氏はブログ投稿で、「ユーザーはデータがどのように使われるかを巡る透明性や選択肢、規制を含むプライバシー保護の強化を求めており、こうした要求の高まりに対応するためウェブ上のエコシステムに進化が必要であることは明らかだ」と指摘した。
Criteoやアドエビスは、CNAME方式にすることで代替案を提案している。
CNAMEとは、DNS (Domain Name System)サーバーにあだ名を付ける仕組みのこと。広告主サイトのドメインに対して媒体のサブドメインをもらう(あだ名をつける)ことで、そこからCookieを発行することで1st party cookieと認識され、ITPのCookie保管期間制限による影響を回避することが可能になるということらしい。
簡単に言うと、名前をごまかして1st party cookieと誤認させることで回避しよう!ということ。
ただ、この方法だとユーザーがオプトアウトできなくなり、GDPRに違反しているのでは?と今話題になっているらしいので、雲行き怪しい。いずれ規制対象になる気がする。そうなるとCriteo結構やばいのでは?というのを下記で分かりやすく解説してくれています。
...
こういった環境下でWebマーケターとして今後どのように対応していくべきなのか、何を準備しておくべきなのか、はまたそのうちまとめてみる(かもしれない)。
デジタル時代にプライバシー保護とどう向き合うか?世の中の動きと媒体社の対応まとめ
IT業界ではこれまで20年近く、プラットフォーマーがどちらかといえば個人情報を搾取する側にいた。プラットフォームを無料で使用できる代わりに、行動履歴などの情報を収集し、そのデータをもってさらに最適化し利益アップにつなげていた。
近年、その流れが変わってきている。消費者を取り巻く環境や心理面の変化、それに対する世の中的な変化を踏まえて、プライバシー保護というのはもはや避けて通れない大きな問題になっている。
今回は、世の中の動きと各プラットフォーマーの対応を簡単にまとめてみる。
世のなかの動き
2018年5月
GDPR(General Data Protection Regulation)が欧州で施行
施行当日、世界的な大企業4社Google、Facebookとその傘下のInstagram、WhatsAppが、GDPRを侵害しているとして提訴されました。GDPRについて詳しくは下記。
2020年1月
CCPA(California Consumer Privacy Act:カリフォルニア州消費者プライバシー法)が米国カルフォルニア州で施行
・生活者の知る権利に比重が置かれた法律
・生活者から預かった情報を適切に管理・運用していくことが求められる
・アメリカには連邦レベルでは個人情報全般を保護・規律する法律が存在しない中、同州が先んじてCCPAを施行したことが注目を集めている。今後連邦レベルでの対応が進んでいくと想定されている
・閲覧履歴や検索履歴、消費者の選考、性格、心理的傾向、素質等などを反映するプロファイルも個人情報としている
2020年3月
日本でも個人情報保護法の改正案発表
媒体社はどう対応しているのか
2020年1月
ChromeブラウザにおけるサードパーティCookieの利用を約2年後に停止すると発表
2020年2月
位置情報 のポリシー変更を発表。
アプリを表示していないときに位置情報を収集するアプリ開発者に対し、事前の承認プロセスを義務付けている。ユーザーのプライバシーを保護の観点で、位置情報を不必要に収集しようとするアプリを制限するのが目的。
2020年6月
プライバシーの保護を強化する改善を発表。
・履歴の自動消去(ロケーション履歴や検索、音声、YouTubeのアクティビティデータは一定期間後自動削除設定がデフォルトで有効になる)
・Googleアカウントの管理を検索ボックスからアクセスできるようになる
・プライバシーモードの切り替えがより簡単になる
2018年1月
プライバシー保護を重視しGDPRに準拠する旨を宣言
https://www.facebook.com/business/news/facebooks-commitment-to-data-protection-and-privacy-in-compliance-with-the-gdpr
2018年3月
2016年の米大統領選において、英選挙コンサル会社ケンブリッジ・アナリティカへの最大8700万人分の個人情報が流出が発覚。米連邦取引委員会(FTC)が調査に入り、約50億ドル(約5400億円)の制裁金。
2019年3月
Facebookをよりプライバシーを重視した空間にしていくと発表
2019年8月
ユーザーが自分の個人情報をターゲティング広告に利用できないようにできる新機能を導入すると発表(オフ・フェイスブック)
2019年9月
ユーザー情報を不適切に扱う恐れがあった数万のアプリを停止
2019年12月
2億6700万人以上のフェイスブックユーザーの名前や電話番号を含んだデータベースがオンライン上に公開されてしまっていた
2019年12月
Twitterプライバシーセンターを開設
2020年1月
CCA に準拠するため、利用規約とプライバシーポリシーの更新
Apple
2017年9月
ITP1.0を発表
3rd party cookieが一部制限(過去含めページ内遷移なしの場合は、発行から24時間後に無効 30日後に削除)
2018年3月
ITP1.1を発表
3rd party cookieの制限強化(そのセッションでページ内遷移なしの場合は24時間後に無効)
2018年9月
ITP2.0を発表
3rd party cookieの制限強化(ページ内遷移なし→即時削除)・1st party cookieも制限・トラッカーへのリファラ制限
2019年1月
アップルCEOがプライバシー保護強化のために闘おうと呼び掛け
2019年3月
ITP2.1を発表
1st party cookieの制限強化
2019年5月
ITP2.2を発表
1st party cookieの更なる制限強化
2019年6月
プライバシー保護を強化し、フェイスブックへの批判姿勢強める
2019年9月
ITP2.3を発表
1st party cookieの制限を更に強化・localStorageも制限
2019年10月
インターネットの閲覧データを中国のテンセント・ホールディングスに送信していると批判。セキュリティー機能の一環として、中国国内のデータのみ送信している、オフにすることも可能と説明
2019年11月
プライバシーの取り組みについて公式サイトをアップデート
プライバシー - Apple(日本)
2020年6月
iOS 14以降IDFA利用はオプトイン方式にすると発表
詳しくは下記にまとめている。
ご覧のとおり、Appleはほぼ一貫してユーザープライバシーを守るスタンスであり、今回上げた企業の中でも初期の頃から最も熱心にプライバシー保護を掲げている。
ハードウェアに強く広告モデルに依存していないということ、スティーブ・ジョブズが昔から個人情報を勝手に利用することをよしとしないという考えをもっていたことが理由のようだ。
今後日本市場においてどうなっていくか
日本市場でもプライバシー保護が求められるのは間違いない。どういう形になっていくかは今後注目である。少なからず、GDPRやCCPAなどをひとつの基準として規則などが決まっていくのではないか。
最後に、プライバシー保護について調べるなかで参考になった記事を2つ参考にはっておく。